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2023

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日本における家族中心のポジティブ行動支援

本研究では、日本の子育て文化と神経発達症のある子どもや大人の家族支援において、ポジティブ行動支援(PBS)がどのように実施されてきたかについて、特に日本の発達障害支援施策の中で、個々の家族へのPBSの支援から、より広いコミュニティーのレベルでの支援について概説した。また最近の動向として遠隔支援、家族と専門家のパートナーシップを支援するためのワークショップについても言及した。日本でPBSを利用する上での障壁と、今後の課題について考察した。

地域に居住する多様な神経発達症のある児の親を対象としたリアルタイムオンラインペアレントトレーニングの効果.

本研究では、様々な神経発達障害の子どもを持つ親のために開発されたリアルタイムのオンライングループペアレントトレーニングの効果を調査した。 神経発達障害と診断された、または疑われる子どもの保護者22名(男性2名、女性20名)が参加した。鳥取大学ペアレントトレーニング(TUPT-ON)をベースに、オンラインで実施可能なリアルタイムオンライングループペアレントトレーニングをパイロットスタディとして開発した。介入前後で育児ストレス、育児態度、メンタルヘルス、子どもの不適切行動スコアを測定し、一対のt検定を用いて分析した。 平均参加率は75.5%、平均宿題提出率は66.6%であった。介入により、親のQOLと否定的養育行動に改善が見られた。さらに、参加者の子どもの児童行動チェックリストの問題点合計(年齢標準化得点)に有意な改善がみられた。また、オンライン・グループ・ペアレント・トレーニングの受容性に関する5つの質問に対して、参加者はほとんどの項目で5点満点中4点以上と評価した。

自閉スペクトラム症のある児の保護者向けオンラインペアレントトレーニング:オンデマンド型のプロトタイプ開発

ペアレントトレーニング(PT)は、発達障害や自閉症スペクトラム障害(ASD)のある児の親のメンタルヘルスやその子どもの行動を改善するための有望な支援とされています。この研究では、オンデマンドPTのプロトタイプを開発しました。ASDと知的障害のある3歳8ヶ月の子どもの母親とASDと診断された4歳5ヶ月の子どもの母親が参加しました。プログラムは各セッションの講義ビデオを視聴し、確認テストに答え、宿題を提出するという もので、6セッションから構成されていました。提出された宿題や質問に対するフィードバックは 、研究者が電子メールで提供しました。結果、参加者は全セッションをスケジュール通りに視聴し、すべてのテストと宿題を提出していました。セッションごとのテストの正答率は両者とも100%でした。子どもたちの4つのターゲット行動のうち、2つが統計的にも有意に変化しました。また、事前・事後のアンケートでは、親のうつ状態や育児ストレスのスコア、子どもの行動全般のスコアの改善が見られました。本研究のプログラムは、オンデマンドのプロトタイプとして開発され、2事例で良好な結果を示しました。今後、症例数を増やすとともに対照群の設定・比較も必要です。

自閉スペクトラム症のある人にとってのビデオ通話のストレスと利点

本研究は、自閉症スペクトラム症(ASD)の傾向・診断のある人と定型発達の人の間で、ビデオ通話によるストレスとその効果を比較しました。252名の参加者のうち151名がウェブ上のアンケートに回答しました。ASD群はTD群よりもビデオ通話を好む可能性があることが示唆されました。また質的方法(KJ法)の分析結果より、ASD群はTD群に比べ画面からの光刺激によるストレスや、視覚刺激による会話への集中力の欠如を感じやすいこと、またストレス刺激に対して、機器操作などによる様々な対処をしていることも示されました。ビデオ通話をオフにしたり、テキスト通話に切り替えたりできるようなルールをあらかじめ決めておくことなど、ASDのある者にとってのビデオ通話のメリットを引き出すコミュニケーションの環境を整えることの重要性が示唆されました。

本研究では幼児期に非常に強い感覚異常とこだわりがあった自閉スペクトラム症の事例について,現在成人期の本人とともに幼児期から現在までを回顧的に振り返り,感覚処理特性の変遷や長期的予後を検討することを目的とした。対象は26 歳の自閉スペクトラム症(ASDASD)の男性で,過去から現在までの感覚処理特性とこだわりの変遷について,半構造化面接を通して回顧記録を収集した。結果,年齢とともに感覚異常やこだわりが落ち着いたと見える事例でも,それらが完全に消失しているわけではなく,様々な対処行動を学習することで対応していることが示唆された。ASD の中核症状としてのこだわりや感覚異常についての有効なアプローチは未だ確立していないが,幼児期から環境調整や対処行動について学び,バリエーションを増やしていくことの重要性が示された。

自閉スペクトラム症(以下,ASD)のある児童において,デイリー・リビング・スキル(以下,DLSDLS)の獲得の重要性が指摘されている。本研究はDLS の指導を可能にする場として放課後等デイサービスに注目し,職員に対するオンラインスタッフ・トレーニングプログラムを開発・実施することを目的とした。ASD のある児童を担当する2 名の放課後等デイサービス職員が10 セッションからなるプログラムに参加した。参加者はプログラム中,それぞれの担当児童についてDSL の指導計画を作成し実際に職場で実施した。結果,参加者の対象児は設定されたDSL 指導内容を達成した。研究デザインや事後アンケートの結果から今後のプログラムの改善点について考察した。

自閉スペクトラム症を中心とした発達障害児のフォロー方法の1つとして,地域においては巡回相談がその機能を大きく担う。就園率の高い倉吉市において従前より行ってきた巡回相談について,より効果的なあり方について検討を行った。2020年度に管理職による相談児童の絞りこみのためのシート,及び保育担当者による実態把握に関する記入シートを新たに導入・見直しを行った。さらにそれらを使用する際の観点について2021年度に対象児選定のためのフロチャート,及び児童の実態把握のための研修動画の作成も行い,それぞれ研修会を実施した。2020年度,2021年度の巡回相談後にアンケートを実施し,フロチャート,研修動画それぞれにおいて効果が示唆された。今後,さらに効果的な巡回相談とするためには相談対象児選定のフロチャートと実際の支援の具体例の関連づけ,研修内容の充実と同時に研修データベースの構築などによる保育担当者の資質向上の必要性が示唆された。

学会発表・シンポジウム

Inoue N., Inoue M.(2023)Development and Examination of ICT-based Teacher Training for Autism with Behavioral Problems  10th World Congress of Cognitive and Behavioral Therapies Seoul, South Korea COEX Convention Centre June 1 (Thu) ~ 4 (Sun)

 

Kadekaru R., Inoue M., Maegaki Y. (2023)Comparison of Effectiveness in Face-to-Face and Online Parent Training for Children with Developmental Disabilities:A retrospective pilot study 10th World Congress of Cognitive and Behavioral Therapies Seoul, South Korea COEX Convention Centre June 1 (Thu) ~ 4 (Sun)

 

Yamaguchi H., Inoue M., Maegaki Y.(2023)Internet-Based Sleep educational intervention for Parents of Children with sleep disturbance 10th World Congress of Cognitive and Behavioral Therapies Seoul, South Korea COEX Convention Centre June 1 (Thu) ~ 4 (Sun)

井上雅彦(2023)臨床活動における対象者のwell-beingに基づく生態学的アセスメントの重要性

日本行動分析学会第41回大会発表論文集,自主企画シンポジウム,9月1日~3日 

 

井上雅彦(2023)強度行動障害者に対して応用行動分析学は何ができるのか?

日本行動分析学会第41回大会発表論文集,学会企画シンポジウム,9月1日~3日 

 

山中智央・石田弓・井上雅彦(2023)場面緘黙が家庭場面で生じる心理的困難感の質的検討 日本心理臨床学会第41回大会発表論文集,ポスター発表(理論・調査研究),9月2日~25日(Web大会)

 

山中智央・嘉手苅瑠輝・井上雅彦(2023)支援機関への来談拒否がある場面緘黙児に対する遠隔技術を取り入れた段階的エクスポージャーと母親へのペアレント・トレーニングの実施 日本認知・行動療法学会第49回大会発表論文集.

10月7日~9日

 

由留木健悟・山中智央・安武真紀・左辺優斗・茶原雅史・三町薫乃・谷口慶・山根帆乃夏・明日香智絵・井上雅彦(2023) マインドレスネス尺度を用いたマインドフルネスに基づく介入によるマインドレスネスの変化の検討 日本認知・行動療法学会第49回大会発表論文集.10月7日~9日

井上雅彦(2023)応用行動分析入門 日本認知・行動療法学会第49回大会発表論文集.一般ワークショップ.10月7日~9日

 

井上雅彦(2023)知的障害・自閉症者の強度行動障害への支援の到達点-教育、福祉、医療連携の新たな一歩- 日本発達障害学会第58回大会発表論文集.学会企画シンポジウム.11月4日~5日

 

井上雅彦(2023)発達障害に対するオンラインによるペアレント・トレーニング その効果と課題を展望する 日本発達障害学会第58回大会発表論文集.教育講演.11月4日~5日

 

井上菜穂・井上雅彦(2023)発達障害のある児をもつ在日中国人を対象としたペアレント・トレーニングプログラム開発のための実証的研究 日本児童青年精神医学会第64回大会発表論文集.ポスター発表.11月14日~16日

 

山口穂菜美・足立みな美・伊藤大幸・原口英之・井上雅彦(2023)ペアレント・トレーニング実施における評価ツールの使用に関する調査 日本児童青年精神医学会第64回大会発表論文集.ポスター発表.11月14日~16日

 

曾田千重・杠岳文・市川宏伸・井上雅彦・日詰正文・成田秀幸・根本昌彦・高橋和俊・山下健・吉川徹・児玉 匡史・田中恭子(2023)強度行動障害者への入院治療プログラムを用いた多施設介入研究 日本児童青年精神医学会第64回大会発表論文集.ポスター発表.11月14日~16日

 

山中智央・井上雅彦(2023)場面緘黙児の保護者が医療機関を受診する際に抱く困難感 日本児童青年精神医学会第64回大会発表論文集.ポスター発表.11月14日~16日

 

井上菜穂・井上雅彦(2023)ASDにおける感覚処理特性とこだわりの幼少期から成人期までの長期的予後についての検討 日本小児精神神経学会第130回大会発表論文集.11月25日~26日

 

井上雅彦(2023)令和日本の「いま、ここ」でADHDを持つ子どもと大人の支援ニーズを念頭に「未来」の認知行動療法を考える 日本認知療法・認知行動療法学会第23回大会発表論文集.自主企画シンポジウム 12月1日~3日

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