2019

日本における知的障害と自閉症スペクトラム障害のある人のチャレンジング行動(挑戦的行動)に関する評価と介入

知的障害と自閉症スペクトラム障害は、発達期に現れる神経発達障害です。これらの障害を持つ個人の社会的適応を妨げる重要な障壁は、自傷行為、ステレオタイプな行動、攻撃的/破壊的行動などのいわゆる「問題行動」の存在です。近年、これらの問題行動は、個人とその社会環境との相互作用に起因するという主張から、総称して「チャレンジング行動(挑戦的行動)」と呼ばれています。挑戦的な行動を治療するためのエビデンスのある介入戦略として、機能的アプローチに基づく心理社会的介入に関する研究が増加してきています。しかし、教育現場や福祉施設でこのような介入を効果的に実施するためには、スタッフのトレーニングプログラムと使用可能な評価を開発することが不可欠です。そこで、この記事では、日本で行われているチャレンジング行動(挑戦的行動)に関する調査研究の概要と、挑戦的行動を示す個人が利用できるさまざまな支援システムについて概説しました。チャレンジング行動(挑戦的行動)に対する本邦の治療システムを発展させていくためには、エビデンスのあるスタッフトレーニングプログラムを確立するだけでなく、教師や保護者が簡便に使用できるチャレンジング行動(挑戦的行動)のための信頼性の高い評価システムが必要であり、ソフトウェアやアプリケーションを使用した評価システム、センシング技術を使用したターゲット行動の自動測定システムの開発など、従来のアプローチに革新をもたらす技術の適用の必要性を提案しています。

自閉症や知的障害のある人々の問題行動に関する機能分析的アプローチは多くの研究でそのエビデンスが示されている。近年これらの治療研究は、家庭、学校、施設などコミュニティで実施されるものが増加しており、非専門家による行動記録の収集と評価が課題となっている。本研究の目的は、日常場面において非専門家が行う行動記録を援助するアプリケーションを開発することであった。本アプリケーションは、Android(アンドロイド機器用)とiOS(iPhone, iPad用)の2つのOS版を各OSの配布サイトからダウンロードし、スマートフォンやタブレットなどのデバイスで利用可能である。記録者は観察時間や標的行動などを設定し、行動の出現に合わせてカテゴリーをタップすることで記録される。入力された行動観察データは即時にグラフ化して表示させることが可能である。データは各デバイス内に格納蓄積され、必要に応じてcsv形式でメール送信可能なため、パソコンなどでのデータの編集加工が可能となっている。家庭と事業所での試用から、本アプリケーションの有効性と課題について考察した。

 

本研究では、発達障害のある児童養護施設入所児童の不適応行動に対して、施設職員に対する機能分析的アプローチに基づいた行動支援プログラムが入所児童の行動改善と直接処遇職員の心理変容に及ぼす効果について検討した。3名の施設職員を対象に、入所児童が示す不適応行動に対する機能分析に基づく支援計画作成のための5回のワークショップとクラウド・サービスを活用したスーパービジョンからなる行動支援プログラムが実施された。結果、児童の標的とされた不適応行動は低減を示し、1ヶ月後のフォローアップにおいても維持が確認された。プログラム実施前後の施設職員の変容においては、SRS-18の得点の低下やGSESの得点の上昇などが見られたが、統計的な有意差は認められなかった。事後インタビューからは職員同士での情報共有が不安軽減につながった点や、本プログラムが職員の負担にならなかった点が示された。児童養護施設入所児童に対する機能分析的アプローチにもとづいた行動支援プログラムの有効性と課題について考察した。

 

井上雅彦(2019)応用行動分析を教育に活かす-行動上の問題の解決のために学校がすべきことは何か- . LD研究 ,28( 1)39-45.
  • 生活者という視点からの発達支援-どんな生きづらさを抱え、どう生きるのか-自閉症スペクトラム児の支援法最前線 自閉症の早期療育に関する応用行動分析の貢献と課題. 、 井上雅彦 、 発達障害研究 、 40巻 4-2号 (頁 444 ~ 445) 、 2019年02月 、 学術雑誌 、 査読無し 、 単著 、 日本語

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  • 強度行動障害の現状と課題を踏まえた支援のポイント 、 井上雅彦 、 実践障害児教育 、 47巻 7号 (頁 10 ~ 11) 、 2019年 、 学術雑誌 、 査読無し 、 単著 、 日本語

  • 17.