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2022

自閉スペクトラム症のある子どもへの遠隔相談での親を介在したトイレット・トレーニング:症例報告

海外在住のASDのある5歳の子どものトイレットトレーニングが、親を媒介した遠隔相談として実施されました。段階的な目標設定と分化強化の適用によって適切な排便行動が増加しました。家庭で生じている行動は遠隔相談のターゲットとして有効と考えられますが、ペアレント・トレーニングなどのプログラムの延長線上にあるとよいと思います。2022/1

井上雅彦・福崎俊貴(2022)強度行動障害のある人の鳥取県における総人口調査.自閉症スペクトラム研究19(2),25-34.
A total population survey of people with severe behavioral disorders in Tottori prefecture in Japan

強度行動障害の地域での支援体制整備のためには対象に関する総人口調査が必要である。本研究は鳥取県が2017年に全県の福祉事業所・特別支援学校に実施した無記名調査よりデータの提供を受け分析したものである。福祉事業所や特別支援学校から強度行動障害判定基準10点以上または行動関連項目10点以上を対象として返送された回答数は182名であり、強度行動障害判定基準10点以上は144名であった。これは調査時の県内療育手帳所持者の約2.6%にあたり、国の推計と比較すると倍以上の数値であった。また強度行動障害判定基準10点以上の対象者のうち行動関連項目で10点未満であった者が14名(9.7%)存在した。この14名は強度行動障害判定基準得点の平均が12点、かつ「ひどい自傷」、「強い他傷」、「著しい多動」、「粗暴で恐怖感を与え、指導困難」などの項目得点が低い傾向が示され、このようなタイプの人にとっては行動援護などの支援対象から外れるリスクがあることを示した。年齢、性差、障害支援区分、併存診断、居住形態、行動問題の種類別の分析データについて統計的分析を行い、他地域の調査データや海外研究と比較し考察した。今後、国内複数地域における強度行動障害に対する総人口調査、縦断的な調査の必要性と国や地域レベルの支援政策の必要性について指摘した。2022/2

嘉手苅瑠輝・足立みな美・井上雅彦(2022)自閉症スペクトラム児への音韻分解と音韻抽出課題を用いたしりとり指導—ひらがなの読みが未習得であった事例—.自閉症スペクトラム研究19(2),49-56.

Teaching the Japanese game of Siritori using phonemic segmentation and phonemic abstraction for an autism spectrum child : A case in which Hiragana words reading was not unacquired

本事例では、ひらがなの読みが未習得である自閉症スペクトラム児に対して、しりとりの習得に向けた指導を実施した。指導開始前、対象児は獲得している名詞の語彙が多いにも関わらず、ルールに沿ったしりとりの実施は困難であった。また対象児へは文字刺激を用いた教示やプロンプトは困難であったため、指導には文字刺激を用いず絵カードを使用した。指導は音韻抽出課題、音韻分解課題、しりとり課題1、しりとり課題2の順で段階的に実施した。しりとり課題1では、口頭でのしりとりの習得を目指した。ただし、本課題では単語の語尾が特殊音節であった場合はしりとりを始めから行い、それ以外の場合は継続して行った。しりとり課題2では、口頭でのしりとりの中で単語の語尾音が撥音の場合、そのことを指導者に報告することを目指した。なお、両しりとり課題では絵カードを用いた回答を求める絵カード選択応答条件から、口頭での回答を求める口頭応答条件へと移行できるよう課題を設定した。その結果、17セッションで全課題の達成基準を満たし、口頭でのしりとりの中で単語の語尾音が撥音であることを報告することが可能となった。指導後、対象児は遊びで保護者としりとりをするなど、指導内容が日常生活場面でも般化したことが報告された。本事例から、ひらがなの読みが未習得である自閉症スペクトラム児に対して、しりとりの習得に向けた、音韻分解課題と音韻抽出課題を用いた段階的な課題設定は有効である可能性が示唆された。2022/2